ボストン調査まとめ 世界最大の学研都市は「シビックテックのメッカ」でした

お久しぶりです!10月からインドを離れ、現在はシビックテックを勉強するためアメリカでシビックテックコミュニティを巡る旅をしている大西です。

ブログを書いている今は、研究の調査のために2週間ほど滞在していたボストンを離れ、電車で20時間かけてシカゴに向かっています。電車の中にバーとかあって普通に暮らせます笑

2週間という長い期間活動を見せてもらう中で、ボストンのシビックテックは1つのシビックテックコミュニティが行政やローカルコミュニティと結びついて活動しているといった雰囲気ではなく、もっと様々なアクターがダイナミックにコラボレーションをしながら取り組んでいる印象があったので、一通り2週間かけて得た情報や、それらへの参加を通じて考えたことなどを簡単にまとめておこうと思います。個々の活動については少し落ち着いてから追加調査なども行なった上で実施できればなと思います。

みんなが集まるインフォーマルな場である「Code for Boston

まず、シビックテックコミュニティ調査の定番としてCode for Bostonというシビックテックコミュニティが毎週火曜日の夜に開催しているハックナイトに2回ほど参加させていただきました。ここで驚いたことは3つ、「新規参加者への手厚いサポート」、「多様なメンバー」、「参加者の熱量の高さ」でした。

まず、新規参加者へのサポートについては大学のレクリエーションかと思うくらい各プロジェクトのリーダーが丁寧に概要説明と参加してほしい熱意を伝えており、初めて参加した人の壁を取り払っていることがとてもよく伝わって来ました。このシステムは新規参加者の継続参加がうまくできていないという問題を解決するために取り入れた仕組みだというお話もとても興味深かったです。

多様なメンバーについては、まずコアメンバーのエンジニア比率が2割ほどであり、デザイナーや活動家の方、コンサルタントなど様々な人の観点を取り入れながら活動をしているというのが国内外見てもなかなかできてないことなのではないかと思いました。また、代表の方とランチに行った際にCode for Bostonの役割について質問した際に、このコミュニティはボストンに住むシビックテックのことを知りたい人、ほかのコミュニティの人、仕事を探している人など様々な人が出会うことができる「インフォーマルな場である」と教えていただいたことからも、多様性に対してとても強い意識を持って取り組んでおられることがわかりました。

参加者の方の熱量の高さについては、イベントが始まった瞬間からプロジェクトごとに別室へ移動して話し合いや開発が行われ、気軽に話を聞きに部屋に入ることができないような雰囲気で会が進んでいたこと、また選挙の開票日ですら20人近くの人が集まってプロジェクトを進めていたことからとても強く伝わって来ました。様々な人に話を聞く中で、こうした雰囲気は、外部の企業や行政などと協働してプロジェクトの規模が大きくなっているため、スキルアップや成果物作り、また新しい繋がり作りの場として個々のプロジェクトが機能しているためではないかなと感じました。実際、プロジェクトへの参加を通じてこれまで15人もの人が行政に関わる仕事に転職し、企業に売却したプロジェクトも多々あるということからも、スケールの大きさを感じることができました。

市民課題を学問と結びつけるMIT civic media lab

Code for Bostonの方の紹介で、MITのシビックメディアラボという市民活動やメディアに関する研究を行う研究室にもお邪魔させていただきました。まず驚いたのは、研究室の方々が毎週1度行っているミーティングに外部の方が誰でも参加できるということでした。実際に僕も参加しましたが、MITやその他の大学の学生が研究のアイデアをプレゼンしてコラボレーションができないかについて話し合ったり、市民の方が研究についてコメントをしたりと様々な協働のタネが生まれており、市民と学問をつなぐ架け橋になっていることがとてもよく分かりました。また、そうしたオープンな場を通じて実際に市民活動家をサポートするツールやジェンダー問題に焦点を当てた研究、市民メディアのプラットフォーム開発など、多くの研究プロジェクトが生まれていることから、MITの研究力の高さも感じることもできました。

 

アクションリサーチを通じて課題解決を行う「Engagement lab

また、こちらもCode for Bostonの方からのご紹介で、Engagement labという市内にある研究施設にもお邪魔し、お話をお伺いさせていただきました。こちらの研究所では学生に向けてMasterコースを提供しており、それ以外にも定期的なハッカソンなどのイベント開催や、教育用ゲームの開発なども行っているということでした。お話を聞く中で特に面白いなと思ったのは、こちらの研究所が果たしている役割について聞いた際に、MITは学問に特化し、Code for Bostonはコミュニティ活動に特化している中で、Engagement labは実際に市民の課題解決を行い、それを研究にするという「アクションリサーチをする立場」にあるということでした。ボストンは様々なセクターが活動している中で、それぞれがきちんと自分たちの役割を意識しながら活動しているというお話はとても参考になりました。またこちらの研究室で学んだ学生はNPOやアーティストなど社会と結びついた活動を行う仕事につく場合が多いというお話はとても興味深かったです。

市民と学生が政治を学ぶ開かれた場である「Harvard Kennedy School

また、政治や民主主義について学ぶための大学であるharvard Kennedy Schoolにもお伺いし、イベントや授業への参加、また先生へのインタビューをさせていただきました。まず面白かったのは、誰でも参加することのできる大学主催のオープンイベントが毎日5つ以上行われていたことでした。学生だけではなく街全体にとっての学びの場であるとともに、大学と市民の交流の場を大学側が率先して作っている姿勢にはとても感動しました。また、授業に参加させていただいた際には、日本の大学のように先生が淡々と話すのではなく、専門家の方を授業にお呼びして先生とのディスカッションやディベートを行い、それに学生が入っていくという形式で行われており、とても刺激的でした。さらに、Code for Americaのメンバーであり自身のシビックテック領域で会社経営をされながら、さらにHKSでの授業も持っておられる先生にお話をお伺いすることもできました。様々な視点からシビックテックに取り組んでおられるため、日米でのコミュニティの性質や企業文化の違い、またアメリカのボランタリズムなど様々な観点からお話をしてくださり、個々の知識だけではなく、様々な角度から見て多角的にシビックテックを捉えることでより深い理解につながるというメソッドの面でも、大きな学びになりました。

各セクターのトップが情報をするフォーマルな場である「Civic tech coffee

さらに、こうした地域で活動する個々のセクターが互いの情報共有や共通テーマについて定期的にディスカッションをする、Civic tech coffeeというイベントにも参加させていただくことができました。このイベントはMicrosoft社とボストン市内のコワーキングスペースが共同で開催しているイベントであり、シビックテック活動家の方やスタートアップ経営者の方、公務員の方など普段の生活の中ではなかなか出逢うことができない人たちが話し合い、「学生の参加」や「選挙」などの共通のテーマに関して理解を深めたり、足並みを揃えていました。このイベントへの参加を通じて、様々な方々がシビックテックに取り組むボストンにおいて衝突や役割の重複が起きず活動が発展しているのは、Code for Americaが主催しているBrigade Congressのように、こうしたトップの方々の意思疎通の場があるためなのかもしれないという気づきを得ることができました。

Boston近隣で活動を行う「Open Maine

Brigade Congressのご縁があり、ボストンからバスで3時間ほど走った先にあるMaine州のポートランド市にも遊びに行かせていただき、そこでMaine州全体のシビックテック活動を行うOpen Maineの代表者の肩にもお話を伺うことができました。こことで学んだことは2つ、「地方が抱える課題をシビックテックで解決することの面白さ」と「地方において課題解決に取り組む難しさ」でした。

まず、面白さについては、Open Maineの活動を聴きながら実際に街を歩く中で感じました。歴史あるコワーキングスペースを改良して作った年代を問わず様々な人が交流をすることができる場所や、ゴミの回収に人手がいらない喫煙所、多くの課題を抱える島を舞台に学生がサマーキャンプで課題の解決に挑むシビックテックアイランド計画などは、どれも他の地域にはないユニークなアイデアばかりであり、都市部とは異なる性質を持つ地方でこそ生み出すことができるものだなと感じました。しかしその一方で、これまで見てきたシビックテックコミュニティが活動する地域に比べて圧倒的に人口が少なく、またITテクノロジーではなく観光業が主な産業であること、そして季節の寒暖差が激しいという気候も影響し、Opne Maineの方々が描くアイデアをなかなか実践することができないこと、そして大都市が得られる財団からの支援を小規模な州であるMaineは受けることができないなど、多くの問題があることも教えていただきました。この点については日本の多くのシビックテックコミュニティに共通する課題であり、ぜひとも国境を超えてアイデアやソリューションをシェアすることができればと思いました。また、日本ではなかなか見られない形での地方のシビックテックとして、周辺のシビックテックコミュニティとのコラボレーションによってリソースを共有する形での課題解決がアメリカでは行われているそうです。ボストンなどの大都市とのコラボイベントなども計画中とのことで、そうした動きがどんな結果を生むのか、とても興味深いなと感じました。

まとめ

今回のボストン滞在では、様々な役割を持つセクターが役割分担をしながら課題解決に取り組み、そうした活動の中に大学や研究室が積極的に関与することで学生の参加も起きるというとても面白い構造を見ることができました。また、Maineでは都市部とは異なる形のシビックテックも見ることができ、アメリカのシビックテックについての理解を深めることができました。

さて、次の調査場所は僕がシビックテックをテーマに留学をするきっかけとなったシカゴです。市民の方々が主体的に課題解決を行う場である「Chi hack night」やコミュニティに特化した活動を展開するOpen up town、そして僕のシビックテックの師匠であるWhitakerさんなどとの議論を通じて、シビックテックのことをより不各区知ることができればなど思います!

おまけ:ボスキャリ参戦

最後に全然関係ない話ですが、先週末に人生初の海外での就活イベントである「ボストンキャリアフォーラム」に参加してきました。マッキンゼーやUberExpediaといった日本の就活イベントではなかなか出逢うことができない企業のお話を聞くことができたり、開催された3日間の中で内定を出す企業がたくさんいたりと、海外就活の熱量を感じることができました。個人的にはUberさんの「日本では他の国(雇用、公共交通)とは全く違う形(運動、ゲーム)でUberが活用されている」という話や、Expediaさんの「東京オリンピックをきっかけに日本のマーケットを一気に取りに行く」という話が熱量も高く、僕の興味がある新しい形のコミュニティづくりというところとも結びつくので面白かったなと思います。僕の就活はいつになるかわかりませんが、できる限り産業界との繋がりは保ち利用して、シビックテックをどんどんアピールしていきたいなと思います。それから、事前パーティーを含めて4日間、2年前の就活やシビックテック活動、インドなどで繋がった方々とものすごい頻度で再会していました。「ご縁」って面白いですね。笑